2019年6月2日、品川プリンスホテルで行われたテンプル大学ジャパンキャンパス (TUJ)卒業式で、アマゾンジャパン社長のジャスパー・チャンが基調講演を行いました。そのスピーチの内容を抜粋してお届けします。(講演は英語で行われ、本文はその翻訳となります。)

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卒業生の皆さん、本日はおめでとうございます。ついに、自ら描いていく人生とキャリアを築く準備が整いました。

私が皆さんと同じように、工学学士号を取得して卒業したばかりの頃、自分がどのような人生設計をして、それを歩んでいきたいのかあまり明確なものはありませんでした。当時、私は香港にいて、自分が生まれた土を離れ、カナダのトロントに移住する計画を立てていました。一方、遊び心から、世間的には最も厳しく、多くの人が望むような仕事で自分がどこまでやれるのか挑戦してみようと決意しました。本格的に仕事に就きたいという気持ちがなかった私は、質問に対する正解を見つけようとせず、自由奔放に自分が表現したいように答えていました。すると、次から次へと奇跡が起きました。銀行や商社など、さまざまな会社から内定をいただいたのです。

結局、私は香港での内定を一旦承諾し、カナダへの渡航を1年間延期することにしました。頭の中ではいつも、「お前はどうして皆が羨む仕事を辞めるんだ?」という小さな声が聞こえていました。ある日、私は頭の中をクリアにして考えたのです。「この街がすべてではない。世界ははるかに広いのだ。大きな国に行けば、自分の成長に大いに役立つだろう」と。そして、私はそれまでに積み上げてきたものをすべて捨て去りました。トロントにいた友人のところに転がり込み、20平米くらいの部屋で同居しました。実質何もないゼロの状態から人生の設計と構築を始めたのです。

私はこれまで4つの街に住み、3つの会社で仕事をしてきました。このように非連続的な変化が起きたわけですが、情熱の追求、そしてキャリアにおいて大きなリスクと思われことをむしろチャンスと捉える能力が、これらの変化を一本の糸で繋いでいきました。私がアマゾンジャパンに入ることを伝えた友人から、「君は多分、ドットコム企業に行きたいという最後の一人だ」と言われたのを今も覚えています。最も尊敬していたメンターからは、Amazon について「自分なら絶対に関わらない」というアドバイスをもらいました。しかし、私の情熱が、「インターネットは世界を変える。そして自分はその一助になりたい」と自分自身に語りかけていたのです。たとえアマゾンジャパンが大失敗に終わっていたとしても、リスクを冒す価値は十分にあったと思いました。

現在、アマゾンジャパンは日本国内に6000名以上の社員がおり、引き続き新たな「リーダー」を大量に採用しています。大変幸運なことに、当社は新卒学生に人気の就職先と考えていただけるようになりました。しかし、私が最も恐れているのは、会社が大きいから、安定していて恐らく潰れることはない、という理由で学生たちがAmazon に魅力を感じることです。今言ったことはどれ1つ真実ではなく、また私たちは真実であってほしいとも考えていません。私たちは変化を生み出し、会社のミッションに情熱を抱き続けることができ、個々のリーダーシップが将来の会社を形作っていくのだということを理解している「リーダー」を求めています。

Amazonでは、謙虚さやお客様を大切にすることへのこだわり、そして革新的であることを心に留め置くために、「Day 1(毎日が始まりの日)」という言葉を大切にしています。「Day 2(2日目)」は衰退、最終的には死へとつながる道です。皆さんが自ら描いた人生とキャリアを築いていく旅の中で、毎日を「Day 1」としていきましょう。

卒業生の皆さん、私は皆さんが変化を引き起こすこと、イノベーションを通じて破壊的創造をすること、そして個人レベルでリスクを冒すことを期待しています。そうすることで、皆さん個々のリーダーシップが光り輝き、周囲の人たちも触発されて同じような行動を取ることができるようになるでしょう。奇跡を起こしましょう。皆さんには素晴らしい人間になる運命が待っています。ご清聴ありがとうございました。そして、おめでとうございます。