新たな息吹をもたらす漫画家を発掘する「第1回Kindleインディーズマンガ大賞」の審査員の1人で、歌手・タレントの中川翔子さんに、マンガに対する熱い思いを聞きました。

「Amazonでは化粧品、家電、日用雑貨など、ほぼ毎日お買い物をしています。なかでも一番お世話になっているのがAmazon Kindleストア。巨大な本棚ごと持ち歩けているようで、好きな時に何度でも本を読める。例え2分、3分でも時間が空けばマンガや本を読まずにいられない私には、夢のような『本屋さん』なんです」

そう言って見せてくれた中川さんのKindleアプリのライブラリには、指で何度もスクロールしないと見終わらないほどの膨大な本が。「今は電子書籍リーダーのKindleやKindleアプリがあるから、仕事の移動も大好きになりました」と、Kindle愛&マンガ愛を楽しそうに話してくれます。

「マンガは私の人生の最重要事項! 何度も救われました」

そんな中川さんとマンガとの出会いは、3歳の頃。「本というのは自分への栄養、ご褒美」だと、惜しみなく本を買い求めていたご両親の蔵書にあった『かってにシロクマ』(相原コージ著)が原体験だったそうです。

「私が9歳の時に亡くなった父が大好きだった本なんですが、知らない動物がたくさん登場するので図鑑のようにも楽しめました。基本はギャグマンガなのに動物が亡くなったりするハードな展開もあって、生き物の世界の厳しさも知りました。それに影響を受けて、大事にしていた犬のぬいぐるみを主人公にしたマンガも自分で描いていました」

それから中川さんはマンガの虜になり、小学校に上がる前には『赤んぼ少女』『漂流教室』など、楳図かずお作品にも夢中になります。「翔子」という芸名も『漂流教室』の主人公・高松翔にあやかり、自身のストレートのロングヘアは大好きな『わたしは真悟』の登場人物・山本真鈴(まりん)と同じ髪型を貫いています。絵を描く楽しみ、喜びも、新しい知識もマンガが育んでくれたと言います。

「小さい頃、読めない漢字はマンガで読めるようになっていきました。そしてひたすら、絵の模写をしていました。模写はすればするほど、上手くなる。『私は絵が好きなんだ』『絵が得意なんだ』と、自分の大好きなものを見つけられたのは、マンガのおかげですね」

マンガで培われた絵心は、2019年12月にリリースされた、約5年ぶりの最新アルバム『RGB ~True Color~』でも披露されています。アルバムジャケット3種は、すべて中川さんの直筆イラストです。

「ジャケットとして絵を残したのは初めての経験。3種類のイラストはそれぞれ、幼少期、思春期、大人になった今と未来をテーマに、自分を形成する思い出の景色やアイテムを散りばめました。今は走っていない電車、遊園地、もうすぐなくなってしまう中野サンプラザも、こうして私が絵にすれば、残すことができる。収録した曲もアニメ『ポケットモンスター』シリーズの主題歌など、どの曲にも『夢は叶うよ、夢を見つけること、好きなことが未来を助けてくれるんだよ』という、私自身が体験してきたメッセージを込めています」

自分の「好き」を愛すべきマンガから見つけることで、中川さんは何度も人生の転機を救われ、励まされてきました。特に印象深い作品は『神の左手悪魔の右手』(楳図かずお著)だと言います。

「学生時代のとても心がしんどかった時期、私はこのマンガにハマり、模写をしていたんです。スクリーントーンを使わず、すべて手描きの楳図先生の絵を描き写すことは、写経のようで、とても心を落ち着けることができた。絵を描く悦びにあらためて、目覚めさせてもらえました」

「マンガは私の人生の最重要事項! 何度も救われました」

楳図かずお先生自身に人生を救ってもらった、忘れられない思い出も中川さんにはあります。

「18歳の頃、私は芸能界デビューはしたものの、なかなか結果が残せませんでした。そんな時、『楳図かずおタッチの絵を描く子がいる』と番組で小さなコーナーをいただきました。その後、実際に楳図先生にお会いした時も、当時の私は『芸能界には向いていない』と思っていました。でも楳図先生と1日、吉祥寺を巡ったロケが楽しかった。最後に先生が『またね!』とおっしゃってくれて、『芸能活動を続けていれば、また先生に会える!』と、生きる希望が湧いてきました。私にとって楳図かずお先生は、神様です」

マンガによって人生の糧が増えた作品のひとつに、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ(荒木飛呂彦著)もあります。もともとインドア派の中川さんが、作品愛が高じるあまり、『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』の舞台であるイタリア・ベネチアに聖地巡りに出かけることで、新しい世界が広がったそうです。

「マンガは私の人生の最重要事項! 何度も救われました」

「ベネチアの美しい景色に感銘を受けて、油絵を描くようになったのも『ジョジョ』の影響です。同じ『ジョジョ』好きの元モーニング娘。の飯窪春菜ちゃんが声をかけてくれて仲良くなれ、友達の輪も広げてくれました。感謝しかないです」

多感な思春期には、人間関係からの生きづらさや悩み、苦しみをマンガに救われたという中川さん。悩み多き若い世代におすすめのマンガを聞いてみました。

「まずは、私が母からすすめられて読んだ『まんが道』(藤子不二雄Ⓐ)。藤子不二雄A先生、F先生の自伝的作品で、マンガを描くことの大変さ、世の中の厳しさや人の優しさを通じて人が成長していく物語です。そして同じく藤子不二雄A先生の『少年時代』もおすすめ。思春期特有の友人関係のギクシャクが、今で言ういじめに発展する物語。そこでどうなっていくのか…時代を問わず考えさせられる名作ですね」

もう1冊はホラーマンガ、短編集『怪奇人形館』(犬木加奈子著)です。絶版になっていた単行本が電子書籍化され、Kindleストアで見つけて大喜びしたそうです。

「最近はホラーマンガが昔ほど盛んではないですが、暗闇が怖い、天井の木目が怖いといった心理的な恐怖体験は絶対にイマジネーションの糧になる。だからこそ、子どものうちから親しんで欲しいと思うんです。とくに犬木先生の『儀式』という短編は、学生時代の友人同士のお話。とても怖いので、ぜひ読んでもらいたいです」

「マンガは私の人生の最重要事項! 何度も救われました」

インタビューの間ずっと、「Kindleストアには紹介したいマンガが多すぎて、本当に困るんです!」と嬉しい悲鳴をあげていた中川さん。

「マンガは、私の人生の最重要事項の1つです。マンガという文化が人々の人生を豊かにしてくれます。私も雑誌でマンガの連載をしましたが、描くのはすごく大変。そんな大変なものを届け、興奮させてくれる漫画家さんは偉大です。Kindleインディーズマンガ大賞で新しい作品に出会えることも本当に楽しみ。そういう世界に飛び込む皆さんを、私も全力で応援したいと思います」
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【その他の中川翔子さんおすすすめのマンガ】
・人生への励ましをもらえる思い出の名作
『ときめきトゥナイト』(池野恋著)
『島耕作』シリーズ(弘兼憲史著)
『DRAGON QUEST―ダイの大冒険―』(三条陸、稲田浩司、堀井雄二著)
『キッチンの達人』(清水康代著)

・Kindleストアで出会った作品
『ごほうびおひとり鮨』(早川光、王嶋環著)
『山と食欲と私』(信濃川日出雄著)
『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』(ぽんとごたんだ著)
『蝶よ花よ』(吉原由起著)

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