Amazonは、多様な個性を認め、受け入れ合うことが人や社会の成長につながるという考えのもとに「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)」を推進しています。LGBTQの当事者と彼らを支援するAlly(アライ)たちによって構成される「glamazon(グラマゾン)」の活動もその一つです。

glamazonの日本支部glamazon Japanは、これまで東京や大阪のLGBTQイベント「レインボープライド」のパレードへの参加や、社内でのトークイベントなどを通し、LGBTQへの理解を深める活動を続けてきました。

AmazonでのDEIの取り組みと、日本で感じるLGBTQを取り巻く環境について、glamazon Japan代表のショーン・チョイさんとメンバーのジェイソン・サックスさんに、お聞きしました。聞き手は、パブリック・リレーションズ本部の金子みどりさんです。

LGBTQの人の葛藤を周囲が温かく受け入れ、『私はあなたのAlly(理解者)です』と表明してもらえれば、LGBTQの人たちは勇気づけられ、安心し、自分らしく生きていきやすくなると思います
glamazon Japan代表 ショーン・チョイさん

最新調査ではアメリカのZ世代の約16%がLGBTQ層

金子みどりさん:アメリカの世界的な調査会社ギャラップが2020年に18歳以上の約1万5000人を対象としたLGBTQに関する調査によると、アメリカ人の約5.6%がレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、またはクィアと自認しているということです。2017年の調査では約4.5%でしたから、上昇していることになります。

また、世代間による比較では、自身を「異性愛者ではない」と答えた率が56歳以上は2%ですが、Z世代(18〜23歳)では約16%の人が「イエス」と回答しています。

日本の調査では、LGBTQ層は人口全体の8〜9%存在するというデータがあり、欧米より多いとされています。一方、日本ではLGBTQへの理解が進んでいるとは言えない状況です。法整備の比較でも、日本はOECD諸国35か国のうち34位のワースト2位。先進7か国(G7)でLGBTQに対する差別禁止法を整備していないのは、日本だけです。

こうした環境のなか、自分の性的指向を誰にも相談できず一人で悩んでいる人は少なくないのではないというのが現状です。実際、日本のLGBTQの子どもたちが学校で保護されず、いじめの対象になったり、不登校になるなどして、教育の機会を奪われているという報告もあります。

今回、ショーンさんとジェイソンさんお二人の話を通じて、LGBTQへの理解を深め、「Ally」と呼ばれる支援者を増やす意義を広く伝えていければと思います。

カミングアウトしたときの両親の驚き、祖父母の理解

ショーン・チョイさん:私が家族や友だちにゲイであることをカミングアウトしたのは、30代に入ってからです。家族に伝えたとき、信心深いクリスチャンの両親は驚き、受け入れるのに苦労していました。同性愛は罪だと考える信仰と共に暮らしてきたからです。

1人1人が虹色に輝くために
Shawn Choi(ショーン・チョイ)さん glamazon Japan代表

今でもわだかまりなく、同居するパートナーとの暮らしをオープンに話せる、という状況ではありません。両親から遠く離れた日本にいることが、親子の良好な関係を保つ、程よい距離感になっている気がします。

カミングアウトして良かったのは、精神的に不安定な生活から解放されたことです。それまでの私は、ゲイである自分を否定し、異性愛者として暮らしていたので、周囲に秘密がばれるかもしれない、という恐れはそれほどありませんでした。しかし、「これでいいのだろうか」という不安と悲しみが常に心のなかにありました。黙っていることが親友の信頼に対する裏切りになっているのではないか、と思い悩み、つらかったです。
周囲に伝えてからは、自由を得たという解放感がありました。自分に対する自信も湧いてきて、アイデンティティを確立した気持ちになりました。

ジェイソン・サックスさん:私は幼い頃からゲイの自覚があったので、若いうちにカミングアウトしようと思っていました。でもいざとなると、やはり怖かった。子どもの頃は、もし構内放送でジェイソンはゲイだと公表されたらどうしようなんて、今思えばいかにも子どもらしい恐怖におびえていました。高校生のときに打ち明けることができたのですが、受け入れてくれた家族と親友の存在は、とても大きかったです。友人たちは学校で私を密かに守ってくれましたし、本当に安心しました。
家族のなかですぐに理解し、受け入れてくれたのは、父方の祖父と母方の祖母でした。二人ともヒッピー世代のためか、若い頃から日常的にLGBTQの人たちとの交流があり、ゲイであることを特別なこととは捉えなかったのです。祖父母は、困惑する両親に「ジェイソンはジェイソン。ありのまま受け入れよう」と諭してくれました。その姿を見て、ずっと社会の目が厳しかった時代に、勇気を出してカミングアウトしてくれたLGBTQの先達にも心から感謝しました。

1人1人が虹色に輝くために
Jason Sachs(ジェイソン・サックス)さん glamazon Japanメンバー

一人の小さな一歩が社会を動かす大きなうねりに

金子さん:過去にLGBTQの人たちとどのような関わりがあったかによって、LGBTQに対する理解が変わってくるんですね。私はお二人がこのブログの取材に快く協力してくださったことにとても感謝しています。「今までLGBTQの人と一度も出会ったことがない」と話す人もたくさんいますが、統計的には10人に1人が当事者ですので、そんなことはないはずです。でもLGBTQに理解がない社会では、なかなか自分らしくいることは難しい。今回お二人のお話を通して体験を共有することで何らかの気付きにつながればと期待しています。

ショーンさん:どの国にも良い面とそうでない面がありますが、日本が米国と違うのは、相手にはっきりと反対意見を伝える行為が好まれないことです。それが良い方向に出ると、社会的にも宗教的にもLGBTQに対して強い反発が表面化することは少なくなります。一方で、対立構造があいまいな日本では、米国のように力強くLGBTQを応援していこうという気運にもつながりにくいと感じています。

ジェイソンさん:私自身は、積極的に誰かに働きかけるようなアクティブなタイプではありません。でも、本当に自分らしくいるとはどういうことかを考えた時、身近な人に経験を伝えることで、一人でも見方が変わるきっかけになればいいと思っています。小さなステップでも、それを続けることで大きな変化になり、社会を前に進める力になっていきますから。

ショーンさん:冒頭で金子さんが紹介したように、LGBTQの人は皆さんが思っているよりずっと多く存在しています。「ガールフレンド(ボーイフレンド)はいるの?」と聞かれることや、セクシュアリティに関する悪気のない冗談が、LGBTQの人には深い傷になることもあります。カミングアウトしていなくても、LGBTQがそばにいることを日々、意識して行動する人が増えれば、LGBTQの人は今よりずっと生活しやすくなると思います。

1人1人が虹色に輝くために
パブリック・リレーションズ本部の金子みどりさん

人は誰でも自分のことを知ってもらいたいという気持ちを持っています。ただ、LGBTQの人は、そのままの自分を開示するまでの心理的ハードルがとても高い。自分の話を聞いてどういう反応があるか、こういう話をしていいのか、と常に葛藤を抱えているからです。

金子さん:現在、アマゾンジャパンだけでも50の国と地域からなる約8500名の人が働いています。セクシャリティだけでなく、国籍や人種など、とても豊かな多様性を持つ組織です。その特徴を活かして、DEIをむしろ強みとした環境を築いていきたいとリーダーたちも積極的に推進しています。

本当に自分らしくいるとはどういうことか…。身近な人に自らの経験を伝えることで、一人でも見方が変わるきっかけになればいい。小さなステップを続けることで大きな変化になり、社会を前に進める力になっていくと信じています。
glamazon Japanメンバー ジェイソン・サックスさん

センシティブな話題は相手に回答するかどうかを委ねる

ジェイソンさん:Amazonの仕事の進め方と同じく、DEIもお互いのトライ&エラーの繰り返しだと思います。LGBTQの人が苦労するのが、最初に誰に打ち明けるか、です。その体験を繰り返し、一歩ずつ周囲との信頼関係を築くことで、安心して暮らせる環境が整っていくと思います。アライの人たちは自分が理解者であることを周囲に知ってもらうため、プライドバッジを身につけたりするといいかもしれません。

金子さん:自分の立場を視覚化するのは、いいアイデアですね。ステッカーを社員証に貼っておけば、「この人はアライだから、安心して話せる」と気づきやいですね。
若年層に注目すると、日本での子どもの自殺のなかには、自分の性的指向をどう捉えていいか分からなかったことが背景にあったり、打ち明けても親や友人の無理解から逆に追い込まれてしまうケースもあります。子どもたちを含めLGBTQの人たちが抱える悩みを理解し、インクルーシブな環境を作るために、私たちはどんなことができると思いますか。

ショーンさん:LGBTQの若者に自殺者が多いと言われているのは、自分にとって大切な人たちや社会に自分自身が受け入れられていないという苦しみがあるからです。彼らの葛藤を周囲が温かく受け入れ、「私はあなたのアライです」としっかりと伝えてもらえれば、LGBTQの人たちは安心し、それまでよりずっと自分らしく生きられると思います。

ジェイソンさん:相手の気持ちになって常に考えることではないでしょうか。もし、質問してみたいことがあったら、まずは相手に「こういったことを聞いてみてもいいか?」と先に意志を確認してみてください。それに対して「いいよ」という場合もあれば、「今は話したくない」と言われるかもしれません。例えどんな内容の質問であれ、答えるか否かの選択権を相手に委ねてみることが、お互いの信頼関係を深めることにつながっていくと思います。

金子さん:確かに、何も言わないのではなく、少なくとも質問することに対して相手の意志を先ず聞いてみるという方法はLGBTQに限らず、異なる価値観を持つ人すべてに活用できますね。

ショーンさん:ええ。LGBTQと聞くとセクシャリティだけに焦点をあてて考える人もいますが、本質的にはDEIを実現し、すべての人が暮らしやすい社会をどう構築していくかが根底にあります。人種や性別、宗教などの違いを超えて、すべての人に関わる課題が含まれていると思います。

笑顔でこちらを見るショーン・チョイさんとジェイソン・サックスさん

感染対策を行い一人ずつ撮影を行いました

米国のAmazon社員から素敵なメッセージ

金子さん:誰もが自分らしくいられる職場って、素晴らしい環境ですよね。一人一人で意識して作りあげていくことができればと思います。
最後にシアトルの私の同僚の様子をご紹介します。双子の赤ちゃんが生まれ、今、子育ての真っ最中ですが、日本にいる私たちに写真付きのメッセージを贈ってくれました。

「私たちが子どもを迎えるためのこの旅は、2年前に始まりました。ゲイのカップルが体外受精や代理出産で子どもを持とうとするにあたってどのようなことが起きるのかを学ぶため、ある会合に参加しました。そして卵子提供者と代理出産者を特定した後、私たちは医師と弁護士チームの協力によって、2020年11月8日、Ashford JohnとDyer Roseという美しい宝物がこの世に誕生したのです。パンデミックに見舞われた困難な状況の中、私たちは幸運にも二人の健康な赤ちゃんを迎えることができました。二人が生まれたのはフロリダですが、私たちは現在、シアトルの自宅で、子どもたちの寝食の世話をしています。平穏な日ばかりとは限りません。しかし、Amazonが提供してくれるサポート環境や医療給付に助けられ、とても感謝しています」(Brandley Mattinger)

一人一人が偏見や差別、疎外感から自由になることでインクルーシブな環境を作っていけると信じています。お二人は、今後どのような活動を目指しますか。

ショーンさん:私はglamazon Japanのリーダーとして、皆さんに小さくても構わないので、まず一歩、DEIにつながる行動に踏み出してもらいたいと思っています。

ジェイソンさん:今日、お話ししたことはLGBTQに限らず、ジェンダーや宗教、障がいなど、すべての多様性に関わることです。いろいろな場面でカミングアウトのきっかけをつかんだり、「自分はアライです」と声に出したりして欲しい。その声が網の目のように広がっていけば、誰もがのびのびと自分らしく暮らせる社会になっていくと思います。

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