Amazonは、3月に日本全国の20~60代の男女約1,000名と、Amazonの製品に限らずスマートスピーカーを利用している男女約500名を対象に「スマートスピーカーおよび音声アシスタントに関する調査」を実施しました。今回の調査では、スマートスピーカーのユーザー層、使ってよかった機能、スマートスピーカーを使って生まれた生活の変化などを尋ね、そこからスマートスピーカーをさまざまな方法で使い、楽しんでいる様子が見えてきました。

この調査結果を立教大学大学院・客員教授であり、「草食系男子」「おひとりさま」などの数々の新語・流行語を世に広めたトレンド評論家でもある牛窪恵さんに読み解いていただき、スマートスピーカーで実現する新しい暮らしとコミュニケーションの変化について、ご意見を伺いました。

今、求められている「声」によるコミュニケーション
調査の中で、スマートスピーカーが実際にどのような使われ方をしているのかを尋ねた設問では、スマートスピーカー利用者の75%が、家事や育児の合間に「『ながら作業』ができるようになった」と回答し、20代の60%、小学生以下の子どもがいる家庭で55%の利用者が、「家族や大切な人との会話のきっかけが増えた」と回答しました。

その結果について牛窪さんは、「朝の支度をしながらラジオや音楽を聴く、テレビでニュースを観ながら家事をする、動画を楽しみながら、ご飯を一人でゆるゆると食べるといった『ながら』が、生活の中で当たり前になってきています。そんな中で、スマートスピーカーを使えば、わざわざスピーカーに近寄ってつながっているかと確認したり、タブレットをいじったりしなくても、『アレクサ、音楽を流して』など、声だけで操作ができる。スマートスピーカーを活用することで、『ながら』でいろいろなことができる万能感や楽しさを、実感する方が多くいらっしゃるのではないかと思います」と読み解きます。

牛窪さんが、今回の調査結果から一番の重要性を感じたのは、「家族や大切な人との会話のきっかけが増えた」と回答した人の多さだったとのこと。そこから読み取れるのは、スマートスピーカーがもたらす人と人とのコミュニケーションの広がりだそうです。

「テキストを打つこと自体にストレスを感じやすいシニア世代の中には、『何か連絡事項があるわけではないけれど、声が聞きたい、声の様子で相手が元気かどうか確認したい』という方もいらっしゃいます。いつの時代も変わらずに求められる『声によるコミュニケーション』の価値が、今後、スマートスピーカーが普及していくポイントではないかと考えています」

新しい生活様式の中で、スマートスピーカーによって変わる
コミュニケーションのカタチ

自己肯定感を高めるスマートスピーカーとの双方向コミュニケーション
続いて、牛窪さんが注目したのは、スマートスピーカーの利用者は、男性よりも女性の方が全体的に期待以上の満足感を得ているという結果。特に、40代、60代の女性利用者の満足度が高いという結果になった背景には、女性が自己肯定感を抱きにくい環境や、「時短」への意識が高まりつつある社会情勢などがあると牛窪さんは考察します。

「私自身も使ってみて分かりましたが、スマートスピーカーにいろいろなことをやってもらった後に『ありがとう』とお礼を伝えると、『いいえ、どういたしまして』『また、いつでも呼んでください』などの返答がくるのです。これは、自己肯定感にもつながることだと思います。今の時代、特に女性は家事や育児、仕事に追われて常に忙しく、『私はちゃんとやれていないのでは?』『ひとりよがりでは?』といった不安や罪悪感を抱えていることも多い。逆に、コミュニケーションが双方向で自分の言葉に反応してくれるからこそ、女性は『誰かが応えてくれる』という満足感や自己肯定感を、強く感じられるのではないかと思います」

また、若い世代を中心に共働きの家庭がますます増えている中で、「時短」が暮らしの一つのポイントになってきていることについても牛窪さんは指摘します。

「事実関係を論理的に語ることをコミュニケーションの基本とする男性とは異なり、女性は多方向、しかも共感型の対話を好むので、感性に響く『声』によるコミュニケーションに、より重要性を感じやすい。そうした生物学的な側面も、スマートスピーカーの声によるコミュニケーションの満足度の高さに、表れているのかもしれません」

30~40代の女性利用者の間で、スマートスピーカーを活用した子どもや高齢者の見守り、家族の話し相手としてのニーズへの声が多く挙がったのも、牛窪さんには注目すべき調査結果でした。

新しい生活様式の中で、スマートスピーカーによって変わる
コミュニケーションのカタチ

「忙しい共働きのご家庭でも、スマートスピーカーがあることで、すぐに歌ったりゲームをしたりと、気軽に家族で楽しめますし、祖父母など離れて暮らす親族とのコミュニケーションもしやすい。そうした家族間のコミュニケーションツールとしてのニーズも、とても大きいと思います。また私が取材したなかでは、お子さんが『アレクサ、〇〇やって』と声を出しながら、スマートスピーカーの反応を楽しむ様子を見るなど、家族でいろいろな利用法を試し、そこから新たなコミュニケーションが生まれる様子も見えました。特に30代、40代の親御さんは、お子さんがまだ幼い方も多いですから、お子さんの笑顔を見られる機会がたくさん生まれるという部分も、満足度につながっているのではないでしょうか」

スマートスピーカーが時短はもちろん、「時コン」の可能性を広げる
調査では、スマートスピーカーがもたらす「時短」という価値が見えてきましたが、これからの暮らしの中で大事なのは「時短」よりも、時間をコントロールする「時コン」だと牛窪さんは言います。

「女性には子育ての本能として、もともと高いマルチタスク能力が備わっていると言われますが、いろいろなことを並行して行うのは、すごくストレスがかかることなのですね。近年、女性たちに取材すると、トータルの時間を減らす『時短』より、時間をうまくコントロールしながら、いろいろなことを並行して進められるという『時コン』を求めているなと感じています」

牛窪さんによると、家事を効率化する方法には、家事代行サービスなどに頼る「外部化」と、パートナーや家族が自分の行為を代替する「分業化」、そして「自助努力」の3つがあるのだそうです。しかし、時短という自助努力は、これまでも限界ギリギリまで努力してきた人にとって、さらなる負担を要求してしまうもの。そうした負担も、スマートスピーカーを使えば減らすことができるかもしれないと、牛窪さんは期待します。

「時短、時コンを実現するにあたり、多くの『ながら』を可能にするスマートスピーカーの貢献度は大きいでしょう。今後は、新型コロナウイルス感染症の問題もあり、なかなか外食に行けず、毎日のように『おうちご飯』を手作りする人も増えるはず。そんななか、別の家事をやりながら音声スピーカーで食材を注文するなどができれば、かなり楽になります。マルチタスクで同時に複数の作業をこなせるとなれば、自分で時間をコントロールできる満足感や気持ちの落ち着きが得られるはずです」

名前をつけたり、デコレーションしたり、スマートスピーカーをカスタマイズ?
今回の調査では、スマートスピーカーの認知度は5割という結果でした。今後、音声アシスタントや音声操作を活用した生活が一層受け入れられていくには、利用者がアレンジできる余地を与えることが普及のポイントだと牛窪さんは言います。

「一般に日本人は、他人と大きく違うことは好みませんが、デコるなどのアレンジが好きなように、『プチ個性』を発揮し、それを誰かとシェアしたいという意識が高い傾向にあります。たとえば、スマートスピーカーに名前をつけたり、可愛くシールを貼ったりするなど、自分なりのオリジナリティをどこかに介在させられると、さらに利用層が広がるでしょう。スマートスピーカーを自分好みに育てたいという需要も出てくるかもしれません」

逆に、導入のハードルとしては、IT機器に対する「扱いが難しそう」という苦手意識が、利用していない人々の中にあるのかもしれないと牛窪さんは話します。

「Wi-Fi環境についても同様ですが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、半数前後の企業がテレワークを導入する状況になってきました。そうしたテレワーク、在宅勤務の影響で、Wi-Fi環境を自宅に整える方が増えるほど、IT機器も抵抗なく受け入れられていく可能性は高いでしょう」

新しい生活様式の中で、スマートスピーカーによって変わる
コミュニケーションのカタチ

リアルとバーチャルのハイブリッドで、人とのつながりをますます便利に
人と人との間に物理的な距離を保つことが必要となり、これまでとは違う、新しい生活様式が築かれつつある今。さらに2030年~2035年の間には、日本の全人口の半数が独身者になり、とくにひとり暮らしのシニアが急増すると言われます。そんななか、スマートスピーカーが「家族のコミュニケーション」や「社会とのつながり」を担う存在となることに期待を寄せているという牛窪さん。

「約2年前に他の企業が実施したスマートスピーカーの調査結果では、声を出すのが恥ずかしいという意見も多かった。ですが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために『巣ごもり』を体験して、認識が変わってきています。取材しても、声を発することがストレス解消になると感じた方も多かったようで、声を通して誰かとつながれる安心感や重要性を、改めて認識する人が増えた印象です」

「スマートスピーカーなどのデバイスが簡単に利用できるという認知が広まれば、ひとり暮らしのおひとりさまが利用するシーンが増えてくると思います。利用して楽しめるだけではなく、困った時にもアレクサが対応してくれることの、安心感や幸福感は大きい。何かひとこと言えば、自分の守りたいもの、たとえば人とのつながりを保つことや、体調管理をアレクサが手助けしてくれるかもしれないとの期待や可能性は、特にひとり暮らしの方々の不安を和らげ、社会全体でサポートしていくという未来につながるのではないかと思うのです」

人と人、人とモノをリアルとバーチャルでつなぐスマートスピーカー。今後も、私たちの生活に寄り添いながら進化し、コミュニケーションを通してちょっと豊かで楽しい暮らしの実現をサポートしてくれるはずです。

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