「災害時にしか使わないシステムでは、災害時には役に立ちません。しかし、普段から使い慣れているAmazonなら、緊急時でも必要なものが探しやすいのです」

岡山県 総社市 副市長 田中 博さん

2018年7月5日、天気予報は中国地方に激しい雨が降り続くことを伝えていた。

岡山県の南西部に位置する総社市は比較的災害が少ないため、副市長の田中博さんも「前日に避難所の点検は行ったものの、最初はこれほど大きな被害が出るとは想定していなかった」と当時を振り返る。

6日になっても雨は降りやまなかった。予想降水量から判断し、片岡聡一市長は予定されていた市議会常任委員会の延期を決断し、災害対策本部を設置。田中さんも直接対応に当たった。

山間部の高梁川上流域で大量に降った雨は、濁流となって下流に流れ、そこにダムからの放流も加わり、6日夕方から7日にかけて川の水位はぐんぐん上昇。道路の冠水、堤防の決壊、アルミ工場の爆発などもあり、総社市では死者4人、1,151棟(2019年4月1日現在)が被災するという大きな被害となった。

災害対策にAmazonを活用
総社市副市長 田中 博さん

総社市では以前から国内外の被災地支援を行い、2013 年には「総社市大規模災害被災地支援に関する条例」を制定。熊本地震、糸魚川市大規模火災などの被災地に物資と共に職員も送り込んできた。現在では、約2割の職員が各地の災害現場での復旧活動に携わった経験を持つ。被災地での様々な支援の経験が、地元での発災時に大いに役立ったという。その一つがフリーマーケットスタイルの支援物資の配付方法だ。

「多くの自治体では、被災された方たちがまず罹災(りさい)証明書の発行を受け、それを窓口に持っていき、必要なものを職員に伝え、職員が物資の中から選んで渡す。そうした手順で支援物資が配付されていました。しかしそれでは、時間も手間もかかり、これから使うものを自分の目で見て選ぶこともできません。たくさんの選択肢の中から自分に合ったものを選んでいただく方が理にかなっていますし、被災され傷ついた方たちが気持ちよく物資を受け取れる工夫が必要だと感じていました」

そこで田中さんたちは、各避難所に物資を送り届けるとともに、市役所裏の車庫を解放し、備蓄分と各地から寄せられた支援物資を並べ、フリーマーケットのように誰でも自由に物資を選べるようにした。それにより総社市の市民だけでなく、物資を受け取れずにいた近隣地域の人々も物資を受け取ることができた。

「法律やルールに沿って行動するのが公務員ですが、市長からは『緊急時にはルールを破れ』と普段から言われています。だからこそ、さまざまな場面でこうした思い切った発想ができました。緊急時には数秒を争うこともあります。その時にはルールに縛られない判断が人の命を救うことにつながると思います」

酷暑の中、各地から集まったボランティアは、2018年9月までにのべ約1万6,000人となり、復旧の大きな力となった。その中には、市長のSNSの呼びかけに自主的に集まった中高生約1,000人のほか、総社市内にあるAmazon岡山フルフィルメントセンターのスタッフ48人も含まれている。

Amazonのスタッフたちは、物資の輸送や浸水地域の片付けなどにあたった。また、東京のアマゾンジャパン本社の社員たちも、総社市からの要請に応じて、総社市の「ほしい物リスト」*を作成。支援開始当初は田中さんから電話やメールで届く支援物資のリストをAmazon社員がAmazonの取り扱う商品の中から探してほしい物リストに掲載し(のちに田中さん自身が掲載の作業も引き継いだ)、AmazonのサイトやSNS等を通じて全国のAmazonのお客様に購入支援を呼びかけた。結果として、多くのお客様に支援物資をご購入いただき、総社市へ必要な物資を届けることができた。

「Amazonの方たちが、一緒に汗を流して、土砂の撤去までしてくれるとは思っていなかったので、そうした一体感のあるサポートを受けることができてうれしかったです。また、ほしい物リストは、必要なものを必要な分だけ送っていただけるので、その日の天候や避難所の状況などを見ながら、毎日リストアップしていました。物品はできるだけ地元から購入していましたが、細かな分類のアレルギー対応の商品や、ブルーシートや土嚢袋など、地域の店舗ではすでに品切れになってしまった商品でも、全国各地のAmazonのネットワークから商品を集めることができたので、本当に助かりました」

総社市では、昨年の経験を生かして、避難所の増設、備蓄場所の分散化、救助用ボートの購入や、岡山県トラック協会備中支部総社分会と災害時の物資の緊急輸送に関する協定を結ぶなど、新たな災害対策を進めている。その中で、今年4月に始めたのが、Amazonの法人・個人事業主向けの購買専門サイト「Amazonビジネス」の利用だ。Amazon.co.jpの利便性はそのままに、販売されている商品を請求書払いで支払えることが大きなメリットの一つとなっている。クレジットカードでの支払いができない役所でも、事前に登録しておけばいつでもAmazonビジネスから商品を購入できる。その利点を生かして、総社市では、Amazonビジネスのアカウントを避難所用など複数作成し、災害時には担当者が現場の状況に合わせて、商品を購入できる仕組みを作った。

「災害時にしか使わないシステムでは、実際の災害時には役に立ちません。しかし、普段から使い慣れているAmazonなら、緊急時にもすぐに必要なものが探しやすいですし、商品が日本各地から直接避難所に届く。仕分けの手間と時間が省け、その時間や労力をほかのことに振り分けることができます。総社市には、約30か国の国籍を持つ方が住んでいます。年齢や生活スタイルが異なる様々な人々のニーズに応える体制を整えるのには、Amazonの豊富な品揃えとシステムを使うことが有効だと考えています」

片岡市長はかねてから、「支援力は受援力。助ける力は助けられる力」と話していた。その言葉が証明された形になったと田中さんはいう。

「以前支援した地域を含む、17市町から2,556人の職員の方にご協力いただきましたし、数えきれないほどの物資もいただきました。同時被災しない離れた地域と連携していくことで互いが助けやすくなります。これからも官民問わず、ネットワークを広げ、様々な災害が起きても、被害を最小限にできるよう、やれることはなんでもやろうと思っています」

*ほしい物リストは、友人や家族に自分のほしい物を知らせるAmazonの基本機能です。東日本大震災以降から避難所などに必要なものを必要な数だけ届ける手段として活用されています。

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災害対策にAmazonを活用
災害対策にAmazonを活用
災害を忘れないために、田中さんが身に着けているリストバンドと使用済みブルーシートで作られたコサージュ