中小企業の未来を考える「Amazon Academy」

2019年6月20日、アマゾンジャパン本社で「第2回 Amazon Academy」(アマゾンアカデミー)が開催されました。Amazon Academyは、社会や企業が抱える課題をテーマに専門家を招き、産学官それぞれの立場から解決策を話し合うものです。

今回のテーマは「グローバル経済の潮流、世界での成功の鍵となる中小企業のためのビジネスソリューション」。中小企業の経営者や小規模事業主、またその支援に関わる人たちなど150名以上が会場に集まりました。

中小企業の未来を考える「Amazon Academy」
開会のあいさつで中小企業支援の重要性を語るアマゾンジャパン社長 ジャスパー・チャン

開会の言葉として、アマゾンジャパン社長 ジャスパー・チャンはこう話しました。

「現在、15万社以上もの中小企業様がAmazon.co.jpを通して商品を販売しており、2018年の中小企業の販売事業者様の流通総額は9,000億円を超えました。こうした中、アマゾンジャパンはテクノロジーへの長期的な投資を続けてきたことで、販売事業者様に向けて販売機会だけでなく、在庫管理や物流のサポート、カスタマーサービス、クラウドサービス、さらには業務改善ソリューションなどの幅広いサービスを総合的に提供できるようになっています。

日本の全企業の9割以上を中小企業が占める昨今、中小企業は日本経済の発展を担う存在だと言えます。今日は海外展開と経済学の観点から、新時代を支える中小企業が世界で成功する鍵について考えてみたいと思います。」

基調講演では、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の赤星康 副理事長と、経済学者の安田洋祐 大阪大学准教授が登壇しました。

赤星氏は「中小企業のグローバル展開に向けて」をテーマに講演。中小企業の海外進出における課題として「海外でのパートナー企業が見つからない」「社内に海外ビジネスを担う人材がいない」などを指摘しました。これらを解決するためにJETROが国内外で提供する海外進出支援事業に加え、農林水産省の輸出支援など、政府でも中小企業支援の施策が進められていることを紹介しました。

安田氏の講演テーマは、「グローバル経済の動きから読み解く日本企業の課題とチャンス」。バブル崩壊後、非正規雇用の低賃金労働者が増加し、経済の悪循環が起こった現象を「負のスパイラル」だと安田氏は言及しました。これを「正のスパイラル」に逆転させるには、AIやIoTといった最新のテクノロジーの導入が必要であり、広い意味での「人への投資」を行って変化に対応できる組織をつくることが不可欠だと話しました。

中小企業の未来を考える「Amazon Academy」
パネルディスカッションに登壇する4名(左から、渡邉安虎、赤星康氏、安田洋祐氏、ジャスパー・チャン)

第2部は、赤星氏、安田氏に社長のチャンを加えた3名によるパネルディスカッションでした。アマゾンジャパン 経済学部門長の渡邉安虎をファシリテーターに、「新時代の日本を支える中小企業・小規模事業者の成長のカギ」について議論を交わしました。

中小企業の海外展開について、赤星氏は「デジタル技術の活用が重要」としつつも「すべてをITで代用できるわけではない」と提言しました。

「新しい事業が始まるきっかけは、リアルの場での出会いであることが多い。大事なのは人同士のつながりです。したがって、デジタルとリアル両方を視野に入れながらテクノロジーの活用を考えていく必要があります。」(赤星氏)

安田氏は、「Amazonは巨大IT企業でありながら、率先してリアルのビジネスに進出して企業支援を行っており、こうしたイベントが開かれるのはある意味象徴的」と話しました。

「従来、デジタル化はバーチャルの世界のみで完結するイメージでしたが、これからはリアルの世界にどれだけデジタル技術を取り込めるかが勝負。バーチャルからリアルへの転換は、ものづくりを得意とする日本企業の技術力を発揮しやすく、日本にとっては大きなチャンスだと言えます。」(安田氏)

中小企業の未来を考える「Amazon Academy」
ファシリテーターの渡邉安虎(アマゾンジャパン)の前職が大学教授であることに対して、「これは日本ではまだ珍しいロールモデルで、今後こうした事例が増えていくと民間企業の成長の可能性が広がる」と安田氏は語る

チャンはAmazonを活用したビジネスの展開についてこう話しました。

「日本では2002年から、ITの知識がない方でもご利用可能な出品サービス『Amazonマーケットプレイス』をスタートさせました。その後、提供を開始した『フルフィルメントby Amazon(FBA)』では、Amazonの物流拠点で販売事業者様の在庫を管理し、受注、配送、カスタマーサービスまでをAmazonが請け負っています。昨夏に始まった『FBA海外配送プログラム』では、販売事業者様は追加の手数料や手続きなく67の国と地域に向けて商品を販売できるようになりました。

さらに、ビジネス購買専用サイト『Amazonビジネス』や、クラウドコンピューティングによって低価格で最新のITリソースを利用できる『アマゾン ウェブ サービス(AWS)』もあります。こうしたサービスを活用することで生産性が上がり、企業は商品開発など、自社の価値をより高めるための仕事に専念できるでしょう。

『地球上で最もお客様を大切にする企業であること』を理念とするAmazonにとって、商品を買ってくださるお客様も、サービスをご利用くださるお客様も、大切なお客様です。今後もお客様のニーズに応えるためのビジネスソリューションの開発に投資を続けていくと同時に、こうした議論の場を設け、Amazonの中に留まらないイノベーションのアイデアを育てていければと考えます。」

第3部では、アマゾンジャパンからAmazonビジネス事業本部 事業本部長の石橋憲人、同 セラーサービス事業本部 FBA事業部 ディレクターの永妻玲子、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWS)から IoTソリューション・スペシャリストの門田進一郎が登壇し、それぞれ「Amazonビジネス」「AmazonマーケットプレイスおよびFBA」「AWS」における中小企業支援の取り組みと事例について解説しました。

プログラム終了後は社員食堂でネットワーキングの時間が設けられました。イベントに参加した中小企業のための総合支援機関の関係者は、こう話しました。

「海外展開支援はわれわれも取り組んでいますが、専門的な人材の採用や、煩雑な手続きにかかるコストなど、中小企業にとってはハードルが高い。こうした部分を一括で任せられるAmazonの仕組みは革新的です。今後は支援先に積極的にサービスを周知し、支援の幅を広げていければと思います。」