あの時は本当にしんどかったと思いますよ」。ご主人が起業した8年前のことを振り返り、山本明美さんは切ない表情を見せた。

明美さんのご主人は、25年勤めた会社で運転手から役員にまでなったが、その会社が廃業したため、地元大阪で従業員7人の小さな運送会社を始めた。2008年6月のことだった。

起業当初は北京オリンピック直前の好景気と言われている中で、ご主人自ら運転手として各地を飛び回る忙しさだった。しかし、起業からわずか3か月ほどでリーマンショックが起きた。その影響が広がるにつれ、ご主人の運送会社は仕事をすればするほど赤字が出るという悪循環に陥った。収入は会社勤めの頃の約半分に落ち込み、明美さんは先行きの不安を感じていたという。

そんななかご主人が突然、それまでほとんど触ったこともなかった事務所のパソコンに毎晩向かい始めた。

「びっくりしましたよ。何で毎晩遅いんだろうって。後になってAmazonで販売する準備をしていたと知りました」

新事業を模索していたご主人は、知人からAmazonで中古本を販売できると聞くと、もともとリサイクルにも関心があったこともあり、興味をもった。そしてすぐにAmazonのセラーサポートに電話し、販売方法を尋ねたのだった。

「3、4日、毎日パソコンの前に座って電話で説明を受けていましたね。主人は『パソコンの使い方も知らなかったけど、アカウントの作り方から親切に教えてもらった』と喜んでいました。従業員もいましたし、自分が始めたことは、どないかせんとあかんという性分の人だから、必死だったんだと思います」

手始めに古書店をまわって集めた10数冊の中古本をAmazonで販売すると、短期間のうちに売れた。その後も同様に中古本を仕入れて販売したところ、売上が順調に伸びた。そのため運送業で培った輸送力を活かして、本腰を入れて本の仕入れを行ない、取扱い数を増やすと、ますます忙しくなった。そしてついには運送業を廃業し、中古本の仕入れと販売に集中することに決めた。

専業主婦だった明美さんも仕事を手伝うようになり、今では毎朝、注文伝票を印刷し、倉庫から本を選び、パートさんと共に梱包も行うなど、夫婦二人三脚で業務を行っている。

仕事熱心なご主人が仕事を休むのは、秋祭りの時と元旦くらいだが、それでもそんなご主人の姿を見る明美さんはどこかうれしそうだ。

「主人は、今の仕事が楽しいって言っているくらいだから、本当に苦にならないのだと思います。お客様に喜んでいただけるのもうれしいですね。『きれいな本でうれしかったです』とお葉書をいただいた時は、二人で喜び合いました」

昨年、ご主人が事故で足に大怪我*を負った時も、Amazonでの販売ならたとえ足が不自由でも仕事を続けられると気づき、何歳になっても仕事を続けたいという意欲が湧いたという。

「主人は今でも『8年前のあの時Amazonで販売を始めていなかったら、今どうなっていたかわからない』ってよく言っています。ほんまに、うれしかったんだと思いますよ。今は収入も安定してきましたし、これからできるだけ長く会社を続けていきたい。二人でそう話しています」

今は収入も安定してきましたし、これからできるだけ長く会社を続けていきたい。二人でそう話しています
岸生産業株式会社 山本明美さん

*現在、ご主人の怪我はおおむね回復しつつあります。
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